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国連人権委員会  人権及び基本的自由についての質疑

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2002年4月10日
インターナショナル・フェローシップ・オブ・レカンシレーション(IFOR)の口頭声明

インターナショナル・フェローシップ・オブ・レカンシレーション(IFOR)を代表致しまして、声明を読み上げます。

毎年、国連人権委員会(以下、人権委)は、世界中から人権や基本的自由における侵害についての報告書を受け取っています。しかし、システム化された人権侵害の膨大な数に及ぶ犠牲者たちが、国際的な人権の目安となる基準や標準に従ってやるべき義務を何度も怠る国々に対して、具体的な行動を要求しているこのときに、人権委には、選択主義(選り好み)が実在しております。義務を怠る国々の多くは実際、人権委や国連会議のメンバーであり、地球上の人権侵害を防ぐための責任があります。

中華人民共和国は人権委の一メンバーでありながら、大規模な人権侵害を犯しています。チベットにおける犠牲者たちは、なぜ人権委が中国に対して行動を起こさないのか疑問に思っています。中国政府は50年以上も前から今日に至るまで、チベットで膨大な数にわたるシステム化された人権侵害の責任があるのに、何故人権委にこうした選択性がでてくるのでしょうか。いくらかのチベット人は、自由への闘いを暴力に訴えるという不幸な考えに傾いています。それは、国連をも含む国際社会を目覚めさせるものとなるでしょう。

議長、IFORは、ここにいる多くのNGO団体のように、チベットにおける人権侵害の現状を大いに憂慮しております。10年以上も前から私たちは、チベットにおける人権の状況が悪化の一途を辿っていることを人権委に報告してきました。私たちはチベットを問題提起してきました。なぜならチベット人の自由を求める闘いは、非暴力主義こそがチベットに自由、正義、民主主義をもたらすのだというユニークなものであるからです。

今年の3月10日、ダライ・ラマ法王は、チベット人に向けた自身の声明でこう言いました。 「チベット問題における私の立場は率直なものである。私は独立を求めていない。以前にも何度も繰り返し述べているように、私はチベット人が自分たちの文明、チベット独自の文化、宗教、言語、生まれ育った生活習慣を守っていけるよう、チベット人に自分たちで真の役目を担う機会が与えられることを求めている。このことから、チベット人がチベットの国内問題を自分たちで取り扱い、また社会的、経済的、文化的発展を自由に決定できるようになることが重要である」

議長、(中国のチベットにおける)抑圧強化と開発事業増加の現行政策は、—第3回チベット工作会議で最初に主張され、さらに2001年の第4回チベット工作会議で強く推奨された、いずれの会議も中国当局に召集された—不適切で危険なものです。現行政策が近視眼的なものであり、長期的に見れば大きな損害をもたらすものであることは、中国政府の強硬派の首脳陣の間を除いて、一般の一致した見解です。中国外務省が発行し1998年に1月から2月に公表された最新の中国の「チベット白書」の中で、チベット学者のメルヴィン・C・ゴールドシュタインの意見が引用されています。

「多くの中国問題専門家と穏健派は、現行政策が、中国がチベットで望む長期的安定をもたらすか否か疑問視している。なぜならそれが、チベット人たち、若者たちさえをもますます阻害して、民族的憎悪と政治的絶望感を強め、チベット人の民族主義的切望はチベットが中華人民共和国の一部である限り実現できないという考えを植え付けているからである」

中国在住の中国人の学者たちは、この見解を支持しています。「黄禍」の著者で中国人ベストセラー作家の王力雄は記事のなかでこう述べています。
「ダライ・ラマはチベット問題の鍵となる人物である」

さらにこう続けています。
「中国の観点からは、次のような理由がチベット問題を新彊問題よりはるかに微妙にしている。チベット問題の特徴は、中国の主権に関する歴史的不安定、事実上の亡命政府、精神的指導者がチベット人から崇敬され世界的な影響力を持つことである」

「それゆえ、中国の長期的利益を考慮するなら、この問題で機先を制するのは賢明ではない。また、ダライ・ラマの死を待つのはさらに大きな誤りである。この政策は間違っている」

結論を申し上げれば、議長、IFORは、この人権委において、中華人民共和国に対して強力な(非難)決議を採択することで、真剣にチベットにおける人権状況を考慮するよう、強く訴えます。私たちは、人権委が大国も小国も自国で人権侵害があればその責任を負うべきであることを示すことができれば、人権委の信頼性は維持できるものであると信じております。

ご静聴、ありがとうございました。